にじ丸です。
「寿命図鑑」という本をご存知でしょうか。動物、人などの生き物だけでなく、機械や建築から天体に至るまで、この世のあらゆるものの寿命についてまとめられており、大人も子供も楽しめる絵本風な図鑑です。
少し前に図書館に新刊としてディスプレイされていたのを見て、思わず手に取り借りてきたのですが、これがなかなかおもしろい。
というわけで今回は寿命図鑑を読んでの感想と、個人的に驚いた意外な寿命のものたちを紹介したいと思います。
寿命図鑑は世の中のものを13カテゴリーに分け、トータル324個紹介
この寿命図鑑で紹介されているのはトータル324個の寿命。
「動物」・「海のいきもの」・「鳥」・「昆虫」・「植物」・「食べ物」・「モノ」・「機械」・「からだ」・「日本人」・「世界の人」・「建築物」・「天体」とこの世のすべてのものを13カテゴリーに分け紹介されています。
寿命と合わせてそのものの特徴や生死にまつわるエピソードも紹介されているので、寿命の長短はもちろん、「へえ〜こんなふうに生きて死にゆくんだ」と意外な生態を知れたり、なかなかの興味深さ。
それにイラストが凝っていてとてもかわいいです。絵本のような図鑑で、ついつい細かなところまで見入ってしまいます。
おそらく子供向けの書籍ではありますが、大人も十分に楽しめる内容でした。
個人的に意外だった寿命たち10選
個人的に意外だった寿命のものたちを10個ピックアップしてみました。
・②モリアオガエル(寿命10年)
・③カキ(寿命20年)
・④スズメ(寿命1.5年)
・⑤ミミズ(寿命6年)
・⑥セイヨウタンポポ(寿命10年)
・⑦鉛筆(寿命50km)
・⑧小腸の絨毛細胞(寿命24時間)
・⑨歯(寿命60年)
・⑩世界の人(寿命50〜83年)
以下に、順番にひとつづつご紹介します。
①ハツカネズミ(寿命1年)
寿命、たったの1年。なんでしょう、この手の小動物って漠然ともっと生きてるイメージがありました。
短命の理由は、心臓が小さく鼓動が早いからということです。(人が1分間につき60〜70回ドクンというところ、ハツカネズミは600〜700回ドクンドクン)
②モリアオガエル(寿命10年)
同じカエルでもニホンアマガエルは2.5年。モリアオガエルになると10年も生きるんですね。
泡の中から生まれるカエルというのは何となく知ってましたが、オスがおしっこを足でかき混ぜて泡をつくるだなんて変わってる。
③カキ(寿命20年)
果物の柿ではなくて、海の牡蠣のほう。なんと20年!(ただし、飼育下においての寿命)
意外な寿命の長さももちろんですが、性別が普段はオスでもメスでもなく交尾の時期になるとどちらかになり、しかも「去年はオスだったけど今年はメス」なんてこともあるらしいのは驚きです。
④スズメ(寿命1.5年)
チュンチュンと毎日のようにさえずっているスズメ。割と日々そこら中で存在を感じるスズメが、まさかそんなに短サイクルで入れ替わっていたとは。
都市が増えたことで巣づくり・子育てがうまくいかずに、数は減ってきています。
⑤ミミズ(寿命6年)
カマキリやコガネグモが1年、カタツムリが2.5年ときてミミズが6年って長くないですか。
その姿から苦手な人が多いのは否めませんが、ミミズが穴を掘ることで地中の通気が良くなったり、ミネラルなどの養分をふくんだフンをしてくれるので畑や土づくりには欠かせない存在。
⑥セイヨウタンポポ(寿命10年)
道端でよく見かけるタンポポ。アスファルトの隙間から顔を出すなど生命力が強いイメージ、そういえばありました。
綿毛になる前に花がしぼんだらいったん茎がたおれ、綿毛をまとってからまた空高く背を伸ばすそうです。
⑦鉛筆(寿命50km)
こちらは年数ではなくて距離数。1本の鉛筆で線をひたすら書き続けると、フルマラソン42.195kmよりも長い距離を書けます。
それはそうと、未使用のものは半永久的にもつ!というのにも驚き。(湿気のないところで保管した場合だそうです)
⑧小腸の絨毛細胞(寿命24時間)
肌のターンオーバーは28日(4週間)などはよく知られていますが、それ以外にも体のあちこちで細胞が新しく生まれ変わっています。
小腸の内側にびっしりと生え、食べ物から栄養を吸収する細かい毛のような絨毛はなんと24時間サイクル。人体の細胞の中でもっとも短い寿命です。
⑨歯(寿命60年)
「歯は大切」。分かっているようで実はちゃんと分かっていなかったと反省。
歳とともに歯も老化していくんですね。平均寿命80年以上に対し、歯の寿命は50〜70年。つまり人によっては歯だけ先に死んでしまうということです。
⑩世界の人(寿命50〜83年)
日本人の平均寿命は世界でもトップクラスで日本は長寿大国。 いっぽうで最低はレソト(南アフリカにある小さな王国)の平均50歳で、なんとその差は33歳です。
同じように人として生まれても、生まれた場所や国によってまったく寿命が異なるというのもこれまた事実。
寿命図鑑はホロっとせつなくもあり、でもほっこり温かい本
ページを開くと、イラストの生き物たちの頭にはそれぞれ天使の輪っかが浮かんでいて、中にはポロっと涙をこぼしてるものもあります。
当たり前だけど、生きてるものには必ず終わりのときが来る。たとえそれが自分だろうと、自分の子供や周りの大切な人たちだろうと。そしてその「死」は、決して避けて通ることはできません。
あらためてそう考えてみると、なんだかしみじみと切なくなりますよね。
でもこの本のあとがきにもありますが、限りある命だからこそみんな一生懸命に日々を営んでおり、そんな姿が愛おしい。
一瞬一瞬を大切に、そして自分だけでなくまわりの命も大切にしながら、自分らしく生きていけたら素敵だなと思います。
寿命図鑑は寿命という現実を受け止めるとせつなくもなりますが、やさしいイラストや構成も相まってなんだか心がほっこり温かくなる、そんな本でした。
興味があればぜひ。